2010年12月19日

44 武士の情け(桂川6)

水位:1.13m(桂川強瀬) 1.43m(大月) 気温:8℃(大月) 天気:快晴
区間:舟場橋〜高月橋(約x.xkm) 所要時間:約2.5h メンバー:トロ5さん、花鳥


 桂川アッパー区間の期間限定放水も、いよいよ終焉を迎えようとしていました。年初に花鳥と下った時の水量が理想だったんですが、いざ現地にやってきてみると、思っていたより相当減水しています。しかし、武士の情けか、最低放流量よりは若干多い程度の流量が残っていました。かなり乱暴な当て推量ですが、5〜10トンくらいですかね。先週までは、30〜40トンくらいあったと思います。

101219katsura03.jpg

 川の中に岩がゴロゴロ乱立し、流速も著しく弱まって、先週の面影はすっかりなくなっていました。むしろ初めて下った放水ゼロ(流量のほとんどが発電取水されて部分的に辛うじて下れる程度の水量)の時の状態に近い。

101219katsura04.jpg

 しょっぱなの舟場橋の瀬も大きく変容していました。
 川の流れを二又に分ける岩が大きく手前にせり出していますが、これ、前回下ったときはほぼ水没しかかっていたはずです。

101219katsura05.jpg

 右ルートは前回、鬼のバックウォッシュが控えていた場所ですが、今日は1m弱のドロップになっています。まずは景気付けにと飛び込みました。



 本日はいつもの花鳥に加え、トロ5さんともご一緒させていただきました。2週間前にロデオボーイでたまたまお話したのがご縁です。初めてのコラボでいきなりあんな場面に遭遇させてしまいまして申し訳なかったですが、これに懲りずに今後もよろしくお願いします。

 さて、ここのドロップは落ちる時もしくは落水直後に左に寄せるべきでした。読みが甘かった私は思いきり左岸にラッピング。秘技「立ち漕ぎ」を駆使して辛くも脱出しましたが、いや、減水しているからといってナメてかかると大変な目に遭いそうです。

 小刻みに岩を避けた後、渓谷部へ。両岸が岩盤で川幅も狭まるのでこんな水量でもそこそこパワーが出てきました。

101219katsura07.jpg

 ちなみに、岩場になっている場所には水面から近い位置に白いドロが付着していて、放水時の水位が分かるようになっています。川幅や形状によってその高さは異なりますが、だいたい60〜80cm程度の幅があるようでした。

101219katsura08.jpg

 放水時には潰れていた瀬が姿を現しており、比較的メリハリがついた川相になっています。そういやこんな感じだったと思い出しながら岩を避けていきます。

101219katsura09.jpg

 シュガードロップは消失。放水時の回避ルートのみが航下可能でしたが、そこそこテクニカルになっています。

101219katsura10.jpg



 次はプレざむらい。ここは減水しても落差は相変わらずです。前回使った右岸寄りのルートは干上がっていて使い物になりません。

101219katsura12.jpg

 とくに左岸寄りが滝のように急勾配で険悪ですが、流速は著しく弱まっているんで仮に沈してもサムライまで流される心配はほとんどありません。そういう意味では比較的リラックスして臨むことができました。



101219katsura13.jpg

 さて、いよいよサムライです。どんな姿になっているのか想像がつきません。ということで今回も崖を攀じ登って下見しました。ちなみに今日の水量では着岸スペースは十二分にあります。

 放水時は水没して巨大ホールを形成している巨岩がその全容を現していました。右ルートの突き出した岩なんて水面から1mくらい高さがあります。うーむ、全然違うなあ…。

101219katsura15.jpg

 今回は右に抜けるルートが存在しません。選択肢は左ルートのみとなります。カレントは露出したおむすびみたいな三角岩に直撃し、グツグツ茹で上がった釜のようなボイルゾーン(このへんは放水時と同じ)を形成して左右に分かれています。ボイルの盛り上がりが大きいので生半可なスピードでは止められてスターンを食われて沈する可能性が高そうです。

 右岸側の流れはそのまま右岸の岩壁に直撃して壁沿いに流れていきますが、左岸ベタを抜けるルートは行き止まりになっています。いや、厳密には、水だけは岩の隙間を抜けてます。シーブになってるやん…。

101219katsura16.jpg

 水圧はそれほどではなさそうで、仮に入り込んでしまったとしてもロープで引っ張り出せそうにも見えますが…。その見立てが絶対正しいかといえば自信がない。ちょっと、リスク高いよなあ…。

 ポーテージしよっかと話したところ、意外にも花鳥はいけるでしょという反応でした。どちらかといえば私がタカ派で、花鳥はハト派なので正直驚きでした。とはいえまあ、今日はトロ5さんもいてはるんでレスキューの冗長化もできるし、やってみてもええかなあ…。

 じゃあ、花鳥ファーストやってやと私とトロ5さんがレスキューにつきました。
 配置は、左ルートに入りかつ沈脱という絶対やってはいけない事態に陥ったケースを想定していました。その他のケースはまあ、何とでもなるやろと。私はシーブ直上の崖、トロ5さんは自らの判断で左ルートのドロップ直下の岩場まで移動され、各々の足場を確保。

101219katsura17.jpg

 そして、事件は起こりました。



 おむすび岩の直撃を避けて右岸の流れに乗せたまでは良かったんですが、ホールの巻きに抗しきれずに沈。即ロールを試みましたが、起き上がろうとした直後にバウが勢いよく右岸壁に激突して失敗。裏返ったまま、スターンから上流側のエディーに入り込んでしまいました。
 エディーの中で再度ロールしようとしていますが、岩壁側から起き上がろうとしているせいか、うまくいかないようです。そして、魚がかかった瞬間のウキのような動き。まさか、まさか…。
 あ、産まれちゃった…。

 沈脱した花鳥は、エディーから出ようと本流に近付きましたが、岩壁に叩きつけられてゴポンと勢いよく沈み込み、浮上した場所は
またエディーの中でした。うーん、どうやらタコツボですなあ。
 再度、チャレンジしましたが、結果は同じ。ただ、ディーゼルだけが下流に流れていってしまいました。

 さて、フネが流されたとなるとうかうかしてられません。もちろん優先順位は人>フネ ですが、フネを流失することも、とくにこういう川では許されませんので。
 私のいる場所からでは、おそらくロープは届かないでしょう。すぐにリンクスまで戻ろうと考えましたが、どうやってあのエディーに近付くかといえば、花鳥と同じコースで下るしか方法はなさそうです。そしてそれは、結構なリスクを伴うでしょう。

 トロ5さんは「大丈夫〜」と積極的に声がけしながら、花鳥の安否を気遣っています。スローロープを投げようとしているようです。持ってはるロープが小さかったので、届くかどうか微妙だと思っていましたが、リンクスの許に戻るのはこの成否を見てからでもいいと判断し、見守ることにしました。

 そして、投げたロープは、一発で花鳥にヒット。そこから対岸のエディーまで無事に誘導することができました。お見事!
 花鳥はロープを手放してゆらゆら流れていきましたが、あとは自分で上陸できるでしょう。次はフネの確保です。待っといてと指示して、急いでリンクスを取りに戻りました。
 この状況で下るのはハイリスクだと考え、ちょっと余計に時間はかかりますがポーテージを選択しました。トロ5さんに手伝ってもらい、無事完了。トロ5さんには後で迎えに来ますから、無理のない範囲でゆっくりポーテージしといてくださいと言い残し、花鳥をバウに乗せて、ディーゼルを探しに旅立ちました。

 今日の水量では流速が弱く、水深も浅いのでどこかそこらへんに引っかかっているだろうと踏んでいたんですが、なかなか見つかりません。渓谷を出たところにあるホールでようやく発見できました。
 近付くと磁力が働くように遠のいたりしてやきもきさせましたが、無事に回収成功。



 サムライに一刀両断にされて心身ともにダメージの大きいと思われる花鳥はその場に残し、再びトロ5さんのもとへ向かいました。減水といってもさすがに漕ぎ上がるのはムリなので、岸沿いをライニングダウン(ライニングアップ?)して遡上していきます。
 サムライが見える場所まで戻ったとき、フネをロープに繋いで流しながら崖を歩くトロ5さんを発見。無事に合流できました。

101219katsura20.jpg

 サムライの武士の情けか、花鳥に目立った外傷はありませんでしたが、タマシイを抜かれたようになってしまいました。今年4回目の沈脱で、今回が一番怖かったそうです。

 ゴルジュ帯を抜けて、ハラキリへ。
 残念ながら下れるだけの水量はなさそうです。放水中は最後のホール間際で一気に落ちるイメージが強いですが、今日の水量では前半部でドンと落ちてしまってますね。
 後半部だけに限定すれば下れそうです。ただし、最後のホールは水量によって掴まるので、慎重に見極めなければなりません。
 よーく目を凝らして観察した結果、掴まる心配はないと判断し、下ることにしました。あんなこともあったので、念のためお二人にレスキューについてもらいました。



 無事に下り終わって、下流から瀬を眺めると、右岸キワキワにコースが見えます。狭いし、連瀑のように段々で落ちていてかなり難度は高そうですが、うまくいけば下れるかもしれませんね。最上流部から挑戦すればよかったとちょっと後悔。

101219katsura24.jpg

 最大のプレイスポット、ロデオボーイですが、これまた残念ながらほとんど消失していました。ちょこっとだけ遊んで早々にパス。



 そして、最後の瀬をクリア。



 このあたりも増水の跡が白い帯となってはっきり残っているので、ピークでどれくらい増えていたか分かりやすいですね。

101219katsura28.jpg

 今年最後のアッパーはこうして終了しました。約1名、精神的に破壊されてしまいましたが、一応無事に生還できて一安心。
 水量は思っていた以上に減っていて、ひょっとしたら放水は終了していたのかもしれません。ですが、一応充分に下れるだけの量はあり、そこそこパワーもありました。とくにサムライは放水中とは別の意味で難度・危険性共に高く、この区間の奥深さを思い知らされた気がします。

 アッパー区間は、今年下った中で最も難度の高い川です。正直、自分のスキルではコントロールしきれず、リスクでかいなあと下るたびに思います。大ケガしたりフネ流失する前に止めといたほうがいいとも思うんですが、ここで得られる達成感、充実感を知ってしまった今、なかなか離れられなくて困っています。

 最後になりましたが、お付き合いいただいた花鳥とトロ5さん、どうもありがとうございました。これに懲りずにまた機会あればぜひよろしくお願いします。

ニックネーム ラナ父 at 05:37| Comment(2) | 甲信越>桂川(相模川) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
きっついチンダツですね〜 桂川キョーレツです…
でもチャレンジするかはさておき、行ってみたいですね。
本年は大変お世話になりました!
来年もよろしくお願いします!
Posted by NMT at 2010年12月31日 22:57
新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
さて、レス遅くなりましてスミマセン。
冬休みフルで帰省してましたもので…。

桂川ぜひお越しください!
アッパーでも目下放水中のロワーでもどちらでも構いません。ご連絡お待ちしております!
Posted by ラナ父 at 2011年01月04日 17:31